バルコニー室外機熱気流解析事例
■解析概要
集合住宅のバルコニーの室外機を対象とする。
近年、集合住宅のバルコニーに意匠的な観点からガラスなどでふさがった手摺の採用が多くみられる。
このような手摺の場合はバルコニーに設置された室外機の排気がバルコニー内に停滞することにより、
ショートサーキットが発生し、空調機の性能が十分に発揮されないことが問題となる。
ここではバルコニーに設置された室外機の排気がバルコニー内に停滞する様子を検証した。
モデルおよび条件の詳細は以下に記載する。
■解析モデル
図1 解析モデルパース図(左:解析領域全体表示/右:対象バルコニー拡大表示)
■解析条件
図2 室外機吹出口・吸込口位置 |
温度条件 | 外気温度 | 35.3℃ | |
---|---|---|---|---|
室外機条件 | 室外機(上段) | 風量 | 36.0m3/min | |
冷房能力 | 2.2kW (吸込温度+3.1℃吹出) | |||
室外機(下段) | 風量 | 40.9m3/min | ||
冷房能力 | 4.0kW (吸込温度+4.9℃吹出) | |||
熱負荷条件 | 日射負荷 | 表面発熱 | 8533W | |
室内透過 | -2526W | |||
貫流負荷 | 室内窓 | -424W |
■解析結果
図3・図4より、室外機(下段)から排出された排気は正面の手摺にぶつかり、上下に広がっている様子がみられる。
上方へ広がった排気は室外機(上段)から排出された排気と一緒になりバルコニー外へ排出され、
下方へ広がった排気はバルコニー床付近から室外機背面へ回り込んでいる。
室外機背面へ回り込んだ排気は室外機(下段)給気口から吸込まれ、ショートサーキットが発生していることがわかる。
このようにショートサーキットが発生している状態では、
給気温度が設計上の上限値である43℃を上回り室外機の性能が十分に発揮されない可能性があるため、
室外機排気側の手摺を格子手摺に変更する、
室外機(下段)に上向きの風向調整板を取り付けるなどの室外機の排気をバルコニー外へ排出し、
ショートサーキットを発生させない対策の検討が必要な場合がある。
図3 速度分布+ベクトルパース図
図4 温度分布+ベクトルパース図