工場空調解析事例[夏期,ヒートインデックス・WBGT]

■解析概要

 近年、工場内の作業従事者の職場環境改善の一環として、熱中症への対策が講じられている。  工場空調解析事例[夏期]の条件を一部変更し、 ヒートインデックスとWBGTによって体感温度や熱中症に関する指標を用いた評価を行い、 FL+1.5m(立位人体レベル)でどの様な評価になるか確認する。  解析モデルおよび条件の詳細は以下に記載する。

■ヒートインデックス(HI):温度・湿度より算出される体感温度を示す指標。 温度によって風速を考慮して補正するなど複数の算出方法がある。
■WBGT(熱中症指数):湿球温度・黒球温度・乾球温度による算出される指標。 Wet Bulb Globe Temperatureの略。

■解析モデル

図1 解析モデルパース図

■解析条件


表1 解析条件表

温度条件 外気温度35.0℃
設計温度/湿度26.0℃/60%※この時の絶対湿度で一定
空調条件 吹出吸込風量3,000m3/h × 8台
吹出温度/湿度20.0℃/84.5%※絶対湿度の変化ナシ
熱貫流条件 部位熱貫流率隣室温度
外壁4.4W/m2・K35.0℃
3.0W/m2・K30.5℃
屋根0.6W/m2・K51.0℃
内部発熱条件 機器A64,000W8,000W × 8台
機器B24,000W3,000W × 8台
機器C40,000W5,000W × 8台
合計128,000W

■解析結果

図2 温度分布平面図(FL+1.5m)
発熱機器の近傍以外は、28~30℃となっている。

図3 ヒートインデックス(HI)分布平面図(FL+1.5m)
※温度によって風速を考慮して補正する方法を使用。

発熱機器の近傍以外は27~29℃となっており、温度分布よりも1℃ほど低いが、ヒートインデックスでは「注意」のレベルである。

表2 参考:ヒートインデックス(HI)
図4 簡易WBGT分布平面図(FL+1.5m)
※簡易WBGTでは、「日射や発熱体のない室内」「黒球温度=乾球温度」として計算。

熱機器の近傍以外は25~27℃となっており、ヒートインデックス(HI)分布よりも2℃ほど低いが、WBGT(熱中症指数)では「警戒」のレベルである。
但し、簡易WBGTを用いた場合、本解析では発熱機器による輻射の影響が考慮されてないため、低めの値となっている可能性がある。

表3 参考:日射や発熱体のない室内におけるWBGT(湿球黒球温度)の推定表

表4 参考:日常生活に関する指針
出典:日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針 Ver.4」(2022年)


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